僕が尊敬し、多大な影響を受けた音楽家について、コラム記事で紹介してきました。
オカリナ奏者の宗次郎さん(コラム「宗次郎さんの音楽との出会い~そして、素晴らしき音楽の世界へ」)、作曲家の久石譲さん(コラム「敬愛する久石譲さんの音楽」)、シンセサイザー奏者の姫神・星吉昭さん(コラム「姫神・星吉昭さんの音楽~東北への憧憬」)と連載してきましたが、いよいよ喜多郎さんについて、コラムを書きたいと思います。
グラミー賞受賞者で、世界的な知名度と活躍を誇る、偉大なシンセサイザー音楽家・喜多郎さん。
日本では、容姿や音楽性などのためか、よくオカリナの宗次郎さんと間違われたりしますが(汗)、ニューエイジ系のシンセサイザー音楽の先駆者であり巨匠であります。
(※宗次郎さんと間違われることに関しての検証は、ぜひ、こちらの記事をお読みください→特別コラム「喜多郎と宗次郎~似てる?似てない?徹底比較!」)
そんな喜多郎さんの音楽と僕が出会ったのは、小学生の頃でした。
喜多郎さんの代表作といえば「シルクロード」が挙げられますが、これはNHK特集『シルクロード』の音楽で、この番組は1980年からスタートしました。
僕が1977年生まれなので、番組が放映されていた頃は3歳前後。
当然、生で番組を見たことはなく、「シルクロード」の音楽は後年に知ることとなります。
母親が電子オルガン(エレクトーン)の講師をしていたので、様々なジャンルのレコードやテープを所有しており、その中のいくつかが喜多郎さんの作品でした。
母親が、喜多郎さんの曲を好んでいて、何作かを購入して所有していました。
それらの作品は、アルバム「敦煌」「天空」ライブアルバム「イン・パースン」、そして「シルクロード」サントラでした。
ちょうど小学生の5年か6年の頃だったと思います。
その中の「敦煌」を借りて、何気なく聴きました。
それまでも、母親が聴いているのを、耳にしたことは何度かあったかと思いますが、自発的に、喜多郎さんの作品を聴いてみようと思って、意識して聴いたのは、この時が初めてでした。
『敦煌』はレコードではなくカセットテープでしたが、テープが回り始めて、1曲目「風神」が流れてきて大きな衝撃と感動を受けました。
「何と美しい音楽なんだろう…。」
まるで森の中にいるかのように感じられる、小鳥のさえずりに続いて、フワ~っと包みこむようなゆったりとしたコーラス系のサウンド…。
これは、“光”を思わせるような透明感のあるサウンドでした。
今でも、この曲を聴いた時の感動と衝撃はよく覚えています。
この喜多郎さんのアルバム『敦煌』を聴いて、シンセサイザーという楽器を初めて強く意識しました。
こんなに美しい音を奏でられる楽器があるんだと…。
(ほぼ同じ頃に、久石譲さんが音楽を担当された『驚異の小宇宙・人体』の音楽も聴き、こちらもシンセサイザーを多用した音楽で、同じように感銘を受けました。→詳細はこちら「敬愛する久石譲さんの音楽」第2話)
『敦煌』に感動した僕は、喜多郎さんの音楽とシンセサイザーのサウンドに興味を持ち、他の作品『天空』や『イン・パースン』も聴いたりしました。
中でも、『イン・パースン』の中の「絲綢之路」(しちゅうのみち=シルクロードのテーマ曲)は、そのメロディーラインの美しさに心打たれました。
こうして、小学生の頃に喜多郎さんの音楽を知り、聴くようになりましたが、本格的にアルバムを集めたりコンサートに行ったりするようになるのは、高校生になってからでした。
中学1~2年の頃は、一時的に音楽とは疎遠となってしまうものの、中学3年の時に、オカリナ奏者の宗次郎さんの演奏と出会ってからは、再び音楽に熱をあげるようになりました。
その頃から、宗次郎さんのCDを買い集めるようになりましたが、宗次郎さんのCDを買いに行くと、必ず同じ棚に一緒に並んでいるアーティストがありました。それが、喜多郎さんでした。
(詳細は、コラム「宗次郎さんの音楽との出会い~そして、素晴らしき音楽の世界へ」を参照)
宗次郎さんや喜多郎さんの音楽が、“ニューーエイジ・ミュージック”と呼ばれるジャンルであることを知ったのも、この中学3年くらいの頃でした。
宗次郎さんがきっかけで、このジャンルの音楽が大好きになっていた僕は、再び家にあった『敦煌』や『天空』『シルクロード・サントラ』などの喜多郎さんの作品を聴くようになり、宗次郎さんと同じく、喜多郎さんのCDも買い集めるようになりました。
高校1年の頃に買ったり、レンタルして集めた作品としては、『オアシス』『天竺』『飛雲』『古事記』などがありました。中でも、『飛雲』と『古事記』は大変気に入り、何度も何度も繰り返し聴く、愛聴作品となりました。
そんな高校1年の冬休みの頃、お正月映画として、オリバー・ストーン監督の最新作『天と地』が公開されました。
音楽を担当したのが喜多郎さん。
ハリウッドの有名監督の最新映画の音楽を、日本人アーティストが担当するということで、新聞で特集記事が組まれました。
“世界を魅了する日本のシンセ奏者”と題する、喜多郎さんの写真入りの大きな特集記事でした。
実は、はっきりと喜多郎さんのお顔が分かる写真を見たのは、この時が初めてでした。
仙人然とした風貌ながら、とても優しい目をされているのが印象的な写真でした。
記事では、1990年に発売され、ビルボード8週連続1位(ニューエイジ部門)を記録したアルバム『古事記』を、オリバー・ストーン監督が聴いて『天と地』のオファーが来たこと。来年(1994年)にニューアルバムを出して、ワールドツアーを計画していること。アメリカ・コロラド州ロッキー山脈での暮らしのことや趣味のカメラのこと。
海外生活の中、日本に帰ってくると温泉に行き、一日に6~8時間は入ってしまうこと。
“花鳥風月”を感じさせてくれる日本の温泉が、アメリカでの生活で忘れそうになる、日本人である誇りをキックバックさせてくれること。などなど…、喜多郎さんの普段のお姿や、人柄などがよく分かる、詳細な記事となっていました。
喜多郎さん、何だかとてもすごいお方だなと思いました。
そんな喜多郎さんの人となりが分かり、ますます、集めた作品をよく聴くようになりました。
ちなみに、この高校1年の冬頃の社会科の課題で、自由研究の課題がありましたが、僕が選んだテーマは“シルクロード”。
喜多郎さんの『シルクロード・サントラ』をかけまくって、レポートをまとめたりしたのが良き思い出です。
こうして、喜多郎作品により親しむようになっていた1994年の1月。とても嬉しいニュースが新聞に掲載されました。
<②初の喜多郎さんコンサートへ(1994年夏)につづく>
※今回のコラムで紹介した作品が、喜多郎さんのYouTube公式チャンネルで公開されていますので、紹介します。