◎宗次郎アルバム第8作『イメージス IMAGES』レビュー

宗次郎オリジナルアルバム第8

『イメージス IMAGES

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オカリナとシンセサイザーを中心にしたシンプルな作品。ニューエイジ路線回帰作。

 

発売日:1990.10.25(サウンドデザイン)

 

プロデュース:南里高世(TAKA NANRI

作曲:南里高世

共同作編曲:大沢教和、南里元子(⑤)(JASRAC作品データベース表記による)

 

 

<レビュー>

①春・せせらぎ

 このアルバムで一番のお気に入りの曲。ゆったりとしたメロディーながら、まさに小川のせせらぎを思わせるかのような、シンセサイザーのアレンジ・編曲が秀逸。

 春の日差しの中で、川面がキラキラと輝いているような情景が、目に浮かんでくる。

 正直なところ、自分はこの「春・せせらぎ」と、6曲目「花の精」を聴くためだけに、『イメージス』を聴くことが多い。

 

②冬の雲

 メロディーもアレンジも、それほど個性がなく、あまり印象には残らない曲。

 1曲目が傑作なので、そこからの落差を感じてしまう。(リスナー・聴衆の好みにもよるとは思うが

 

③そよ風

 ピアノの音が印象的なアレンジの曲。サビ(曲の中で一番盛り上がったり、印象に残る部分)のメロディーがキャッチーで親しみやすい。

 

④秋桜

 さだまさしさんの曲とは無関係。

 ただ、どことなくフォークソングっぽい感じのメロディーの曲だと思う。もし、さだまさしさんと宗次郎さんがコラボしたら、どんな風になるだろうと、勝手に想像したりする。

 

⑤朝日の中で

 アルペジオ(分散和音)が印象的なアレンジ。

 南里高世さんの奥さん、南里元子さん作曲による曲。…だが、う~ん。このお二人、南里高世さん元子さんご夫妻は、本当に素晴らしいプロデューサーだと思うし、喜多郎さんと宗次郎さんを人気アーティストに育て上げた功績も素晴らしいし、深い敬意も感じるのだが、いざ作曲家として聴いた時には、曲にもよるが、全体的に素人っぽいメロディーラインだなあと思ってしまう。大変失礼な言い方かもしれないが、“芋くさい”感じのメロディーだなあと…。(南里夫妻のファンの方が、もしこの記事を読んでおられるとしたら、本当にごめんなさい)

 

⑥花の精

 宗次郎さんのオカリナはごく一部のパートのみで、大部分がシンセサイザーの曲。

 だが、ヒーリング系のシンセサイザー音楽として素晴らしい傑作。1曲目の所にも書いたが、「春・せせらぎ」とこの「花の精」を聴くためだけに、このアルバムを聴くことが多い。

 これまでの宗次郎作品では、幻想的な曲調はあったものの、この曲のようなメルヘンチック・ファンタジックなヒーリング曲は無かった。隠れた名曲と言える。

 

⑦雨

 ピアノの音が印象的。まるで雨粒を表現しているかのよう…。オカリナの対旋律(主旋律に対して寄り添うような、もう一つのメロディー)をピアノが奏でるアレンジが秀逸。

 

⑧旅の終わりに

 シンセサイザーの音によるアルペジオ(分散和音)が印象的なアレンジ。

 英語のサブタイトルでは、“The Sunset”となっているが、どこか寂しげな感じもする曲である。

 

 

<総評>

 『ハーモニー』『ヴォヤージ』と、ポップ・ロックな作風への志向を強めてきた“南里高世feat.宗次郎

 この4作目『イメージス』では大きく方向転換し、原点のヒーリング・ニューエイジ路線に回帰したのは良かったのだが、傑作と言えるのは、1曲目「春・せせらぎ」と6曲目「花の精」のみで、他の曲は全体的に個性が弱く、強烈な印象はあまり残らないアルバム。

 聴いた際の、高揚感や満足感がもう一つな感じがする。(あくまで好みによるものかもしれないが…。もし『イメージス』が大好きな方がこの記事を読んでおられたら、こんな意見もあるのか…程度で読み流して下さい)

 これはあくまで推測なのだが、宗次郎さんはこのアルバムの頃から、サウンドデザインから独立して、セルフ・プロデュースすることを模索しておられたのではないかと思う。

 元々、宗次郎さんが行いたかった活動は、自分で作曲した曲を演奏することだと思う。(『グローリー・幸福』のように)

 なので、『フォレスト』以降の本作『イメージス』に至るまで、南里高世さんが作った曲しか演奏させてもらえず、いくら自分を育て上げてくれた恩義があるとはいえ、自分で曲を作りたい、自分の曲を吹きたいという不満が、溜まっていったのではないかと思う。(その心情は、自分自身も曲作りをする身として、痛いほどわかるし、その気持ちは想像できる)

 実際のところ、オカリナの音色の魅力を、最大限に引き出したメロディーを作るという点では、南里高世さんよりも、宗次郎さんの方が作曲能力は上だと断言できる。(サウンドデザイン時代のアルバムと、『木道』以降のアルバムを聴き比べれば、一目瞭然と思う)

 宗次郎さんは、自分ならこんなメロディーにする、自分ならこんな曲を書くと思いながら、南里さんが作った曲を演奏されていたのではないだろうか。

 この辺りの、宗次郎さん独立に至るまでの経緯は、宗次郎さんのホームページにも、サウンドデザインのホームページにも載っておらず、調べても情報は出てこないので、わりと触れてはいけない、タブーなことなのかもしれない。

 ただ、この『イメージス』からは、『心』や『フォレスト』の頃のような、モチベーションの高まりを曲からは感じられないので、もしかしたら、そのような背景があったのではないだろうかと、聴く度に考えてしまう。

 

 

☆版権元サウンドデザインのYouTubeチャンネルより(公式動画)

「春・せせらぎ」(1曲目)

 

「花の精」(6曲目)

 

 

☆以下のサイトで、全曲試聴およびダウンロード購入ができます。

レコチョク

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