◎宗次郎アルバム第5作『フォレスト FOREST』レビュー

宗次郎オリジナルアルバム第5

『フォレスト FOREST

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ストリングスなどアコースティック(電子音ではない生楽器の音)な響きをふんだんに取り入れた、癒し度満点の、アコースティック・ニューエイジ路線の傑作アルバム。

 

発売日:1987.11.25(サウンドデザイン)

 

プロデュース:南里高世(TAKA NANRI

作曲:南里高世

共同作編曲:大沢教和、蓮沼健介(⑧)(JASRAC作品データベース表記による)

 

 

<レビュー>

①朝の輝き

 ギターやストリングス(ヴァイオリン類の弦楽器のアンサンブル)といった、アコースティック・サウンドが心地よく響き、このアルバムの特徴を印象付け、よく物語っている。

 『グローリー・幸福』以来の、シンセサイザーではなくアコースティック・サウンドがメインとなるアルバムの、トップを飾る良曲。

 

②精霊の森

 野村證券CM曲。イ短調(短調のメロディーは、哀しい感じやほの暗い印象)のメロディーは、4曲目「道」とよく似ているが、この曲の最大の魅力は、イ長調(長調のメロディーは、明るい感じや爽やかな印象)に転調してからの展開。

 秀逸なメロディーとアレンジで、森に木漏れ日が差しているような情景が、目に浮かんでくる。とても美しい曲。

 南里高世さん作曲による、サウンドデザイン時代の宗次郎作品としては、「道」とこの「精霊の森」の2曲が最高傑作。

 

③ハーモニー

 次作のアルバムのタイトルが「ハーモニー」だが、それとは無関係。

 「ハーモニー」というタイトルは、音楽の和声のことではなく、森や大自然の調和を意味していると思われる。

 ストリングスの対旋律がとても美しく魅力的で、まさにオカリナとストリングスが調和し、至高のハーモニーを奏でている秀逸なアレンジの作品。

 

④道

 初期のサウンドデザイン時代の代表曲で人気曲。

 比叡山の過酷な修行“千日回峰行”2度に渡り、満行を達成された高僧・酒井雄哉大阿闍梨に捧げられた曲。

 「道」というタイトルは、この修行の道を表しているのだろうと思うが、この曲を聴く、一人一人の人生の“道”を、優しくそして強く勇気付けてくれるような、感動的なメロディーとサウンドが印象的な傑作。

 

⑤春風のささやき

 これまでのアルバムにも必ず、1曲は入っていたさわやか系の曲。特に本作の場合、アコースティックな響きで奏でられているので、音にやわらかな優しさも加味され、まさに春風に包まれているような感覚の曲。

 

⑥白嶺

 雄大な広がりを感じさせる美しい曲。

 本アルバムでは、ストリングスをアメリカ・ロサンゼルスで録音しているが、そのストリングスの広がりのあるサウンドを、十二分に堪能できる曲。

 登山で山頂にたどりつき、眼前に広大な風景が広がったときに、もしこの曲が流れれば(実際には流れてきたりはしませんが…)登頂の感動が倍増しそうな気がする。

 

⑦悲しみの果て

 出だしのメロディーが、のちの『ヴォヤージ』の「エアー」の出だしと似ている。

 高校生の頃、宗次郎さんの音楽にそれほど詳しくない友人が、なぜかこの曲を知っていて、不思議に思ったのだが、友人の話から、志村けんさんの番組で使われていたらしいと知った。

 自分自身、お笑い番組は見ない人間なので、詳しくはなかったのだが、番組内のシリアス無言劇のBGMで使われていたらしい。

 

⑧ムーン・ライト

 夜想曲という言葉がぴったりの、静かで叙情的な美しい曲。

 オカリナとピアノのみという非常にシンプルなアレンジ。後年の『オカリーナの森から』の「森に還るⅡ」を彷彿させる雰囲気の曲。

 ちなみに、このアルバムには、キーボードで蓮沼健介さんが参加されておられる。先述の『オカリーナの森から』の他、最近の作品や現在のコンサート活動で、ピアノ・キーボードや編曲を担当されておられるお方である。

 

 

<総評>

 宗次郎さんの初期サウンドデザイン時代の後半の作品となる、この『フォレスト』から『フレッシュ・エアー』までは、宗次郎さんは作曲には携わらず、主にプロデューサーの南里高世さんが作曲を手がけておられる。

 宗次郎さんはオカリナ演奏者としてアルバムに参加し、オリジナル・アルバムではあるものの、事実上は“南里高世featuring宗次郎と言った方が正確かもしれない。(次に宗次郎さん自身の作曲作品が聴けるのは『木道』を待たねばならない)

 とは言え、この『フォレスト』はサウンドデザイン時代の中で、ずば抜けて大傑作のアルバム。

 全曲を通じて、心地よいアコースティック・サウンドがあふれ、まさに“音の森林浴”ができる、癒し度満点の作品。

 アレンジ(編曲)も、普遍性を感じられるアレンジなので、時代性や流行性を超越し、古さは微塵も感じられない。

 前作『心』とこの『フォレスト』が、サウンドデザイン時代の宗次郎作品の最高峰。

 次作『ハーモニー』以降は、やや“クセ”があるので、初期の頃の宗次郎さんのCDで、静かで優しいオカリナの音色に癒されたいという方は、『心』と『フォレスト』の2枚を聴けば間違いはない。

 

 

☆版権元サウンドデザインのYouTubeチャンネルより(公式動画)

「フォレスト」視聴動画

 

「道」(4曲目)

※注:CD収録版とはアレンジが異なる、ライブ演奏版の動画です。

 

 

☆以下のサイトで、全曲試聴およびダウンロード購入ができます。

レコチョク

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<宗次郎CD総目録>

 

 

☆アルバム『フォレスト』より「道」を、ヒーリング・ホイッスルでカバー演奏しています。

YouTubeで公開中です。よろしければ、ぜひご覧下さい。

        ↓

【ヒーリング・ホイッスル】道 TAOFOREST【宗次郎作品を、ケルトのホイッスルでカバー演奏】